新たな化学物質規制とは?
2024年4月1日から保護具の着用が義務化


現在、国内で工業的に使用されている化学物質はおよそ7万種類あり、化学物質にまつわる事故の発生も後を絶ちません。
そのため、2023年4月1日から労働安全衛生規則などの一部が改正され、「新たな化学物質規制」がスタートしました。
規制の対象となる化学物質が年々増加しており、管理のあり方が従来の「法令遵守」から「リスクアセスメント(危険性評価)を軸とした自律的管理」へと大きく変更されました。これにより、対象となる化学物質を取り扱うすべての事業者に、様々な義務が課されています。
ここでは、「新たな化学物質規制」とは何か?着用義務が必要な保護具の選び方についてご紹介します。


「新たな化学物質規制」における主な変更点
  • リスクアセスメント対象物質の増加
  • ばく露低減措置の実施
  • 化学物質管理者、保護具着用管理責任者の選任義務化
  • 皮膚等への障害防止のため、保護具の着用が義務化

出典:厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」

※リスクアセスメントとは・・・
 職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法です。

1.リスクアセスメント対象物質の増加

労働安全衛生法に基づくラベル表示、SDS等による通知とリスクアセスメント実施の義務の対象となる物質に、国によるGHS分類で危険性・有害性が確認された全ての物質を順次追加します。

改正前 ・・・ 674物質
2024年4月 ・・・ 908物質
順次追加後 ・・・ 約2900物質(当面予定されているもの)

2.ばく露低減措置の実施

リスクアセスメント結果を踏まえ、労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度を最小限度にすることが義務付けられます。
さらに、厚生労働大臣が定める物質(濃度基準値設定物質)は、リスクアセスメント結果を踏まえ労働者がばく露される濃度を基準値以下とすることが義務付けられます。

ポイント
推定ツール(CREATE-SIMPLE等)や、実測法(個人ばく露測定、簡易測定法)組み合わせて行うことが効果的です。

3.化学物質管理者、保護具着用管理責任者の選任義務化

リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業者は、「化学物質管理者」の選任が義務化されます。
また、リスクアセスメント結果に基づき労働者に保護具を使用させる事業場では、「保護具着用管理責任者」を選任し、有効な保護具の選択、使用状況の管理等に関わる業務に従事させることが義務付けられます。

4.皮膚等への障害防止のため、保護具の着用が義務化

化学物質との直接接触の可能性がある作業を行う場合は、物質の有害性に応じて、適切な保護具を身に着けなければなりません。 健康障害を起こすおそれの有無はSDS等に記載されている有害性情報の項目を参照してください。

健康障害を起こすおそれのある物質

健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質
 ・・・ 努力義務(2023年4月1日施行)
 ・・・ 義務(2024年4月1日施行)

健康障害を起こすおそれがないことが明らかなもの以外の物質
 ・・・ 努力義務(2023年4月1日施行)

健康障害を起こすおそれがないことが明らかな物質
 ・・・ 着用不要


保護具の選び方
化学物質の種類や取扱い内容により適切な保護具は異なります。
取り扱う化学物質と保護具の性能を確認してください。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」

安全モールでは新たな化学物質規制に対応した保護具を取り扱っています

化学防護手袋

化学防護服

保護めがね

長靴



■規格について

JIS T 8116
化学防護手袋に関する規格です。
定義:酸、アルカリ、有機薬品、その他気体及び液体又は粒子状の有害化学物質を取り扱う作業に従事するときに着用し、化学物質の透過及び/又は浸透の防止を目的として使用する手袋

JIS T 8115
化学防護服に関する規格です。
定義:酸,アルカリ,有機薬品,その他の気体及び液体並びに粒子状の化学物質(以下,化学物質という。)を取り扱う作業に従事するときに着用し,化学物質の透過及び/又は浸透の防止を目的として使用する防護服

JIS T 8147
保護めがねに関する規格です。
定義:浮遊粉じん,薬液飛まつ(沫),飛来物などから作業者の目を保護するために用いる保護めがね

JIS T 8117
化学防護長靴に関する規格です。
定義:酸,アルカリ,有機薬品,その他の気体及び液体又は粒子状の有害化学物質(以下,化学物質という。)を取り扱う作業に従事するときに着用し,化学物質の透過及び/又は浸透の防止を目的として使用する長靴